マニュアルの概要

 本マニュアルは、スマートフォンやパソコンを用いて、遠隔地のため池を監視するシステムを、誰もが構築できることを目的としたマニュアルです。

 このマニュアルを使用するには特別なスキルは必要ありません。PCでExcelやWord、インターネットを扱ったことがある人なら作成可能です。機器を作るにあたり、簡単なはんだ付けも行いますが、丁寧に説明していますので是非チャレンジしてみて下さい。

 この監視システムでは、水位水温雨量画像情報を閲覧することが可能です。また、この他にも温度センサ等様々なセンサを取り付けたり、不要なセンサは取り付けをしないこともできる為、必要な情報のセンサのみ取付をすることが可能です。
 監視システムの使用想定として、日常の水位確認や、余水吐や堤体等任意の位置にカメラを設置することで豪雨時の余水吐の状態確認や、普段土砂や流木等のゴミが溜まっていないかの確認、堤体に生える雑草の状態確認から草刈り計画に活用すること。また、降水予測やため池水位変動の予測結果を用いて、ため池の低水位管理や豪雨時の事前放流の判断材料として活用を想定しています。
 初心者や中級者の方はマニュアル通りに完成させることを目的として下さい。

 本マニュアルの構成として、章を順番に読み進めることで、IoT機器の構築が出来るように記載しています。第二章に完成までのロードマップページがあります。こちらには視覚的にシステムの概要を説明しているので、イメージがつきやすいと思います。


目次

第一章:必要な道具や各章で使用する物品

第二章:完成までのロードマップとスペック

第三章:センサ機器

第四章:センサを計測する回路基板作成

  1. プリント基板の作成と必要な電子部品等
  2. プリント基板への電子部品のはんだ付け
  3. 回路基板にプログラムを書き込む為のソフトウェアインストール
  4. 回路基板にプログラムの書き込み
  5. 回路基板で他のセンサを使用する

第五章:各サービスへインターネットを通じてデータを送信するコンピュータ

  1. Raspberry PiへOSのインストール
  2. Raspberry Piの設定

第六章:情報の可視化

  1. 各サービスの説明と機器の作成
  2. Google スプレッドシートの使用準備
  3. Slackの使用準備
  4. GoogleスプレッドシートとSlackを用いた情報の可視化
  5. ため池監視用Webサイト構築:準備
  6. ため池監視用Webサイト構築
  7. ため池監視用Webサイトへのデータ送信
  8. ため池監視用WebサイトLINE連携

第七章:機器の電源[太陽光システム]

第八章:IoT機器の構築

  1. 各部材の準備
  2. IoT機器の構築

第九章:各サービスの使用方法

第十章:故障したときは

第十一章:参考文献


技術的なこと

 ため池を監視するシステムはICT(Information and Communication Technology)通信技術を用いて構築します。ICT通信技術を用いると、複数の人とため池の情報を共有可能で、ため池管理の効率化や、よりリアルタイムに近い情報把握ができる為、災害時の手助けとなります。

今回、ICT通信技術を実装する為に、IoTを用います。

 IoTとは「Internet of Things」の略称で、さまざまなモノがインターネットに接続され、遠隔地のモノの状態を知ることや、操作等が可能な仕組みです。

 IoTを構築する上で必要な知識は、主にハードウェアの知識、組み込みソフトウェアの知識、Webサービスの知識が必要となりますが、本マニュアルでは上記の知識は必要ありません。簡単かつ丁寧なマニュアルとなっておりますので、初心者の方でも作成可能です!


IoT機器作成の予算

 概算で30万円程度必要となります。