2.IoT機器の構築

この節ではIoT機器の構築を行います。IoT機器の構築は、運搬時の故障を防ぐ為、設置するため池で行ってください。設置する前にこの節を最後までお読み下さい。

また、バッテリーを扱う為、感電の危険が伴いますので、くれぐれも安全に作業を行ってください。

作業時間:120分


用意するもの

前節で準備した
ソーラーパネル
1
単管パイプ1.0m5
単管パイプ1.5m1
48.6パイ
直交クランプ
5
前節で準備した
カメラ
1
前節で準備した
電源ボックス
1
ポールバンド
締付金具付
2
バッテリーBOX1
JC75-12
密閉型
ディープサイクル
バッテリー
1
WAGO ワゴ
WFR-2BP
ワンタッチコネクター
4
コネクタ付コード2P1
前節で準備した
電源コード
3
結束バンド
耐候性タイプ
1パック
雨量計1
HYDROS-21
水深・温度・ECセンサー
1
ECRN-50
雨量計
1
南京錠1
シールパテ1
水位・水温センサーを
ため池に設置する為の
設置用部材
1
単管キャップ7

用意する工具類

ワイヤーストリッパー
モンキーレンチ
水平器
ドライバー2番
ニッパー
軍手
ゴム手袋
ため池の水位を計測するオートレベル等の測量機器

IoT機器の構築

IoT機器の構築を行います。安全に作業をする為、必ず軍手や安全靴を着用して下さい。

まず初めに、ため池に水位・水温センサーを設置します。水位・水温センサーを設置する方法は主に2つあります。

・固定金具を用いて設置する方法

センサーを固定金具で堤体に取り付けます。センサーを直接堤体に取り付ける為、水位の誤差が少ない設置方法になります。

・保護管を用いて設置する方法

センサーを塩ビパイプなどの保護管に入れ、保護管固定金具を用いて堤体に設置します。保護管固定金具を用いて固定が難しい場合は、水位の誤差が発生する場合があります。また、サイフォンの原理で保護管内の水位が上下することで水位誤差が生じるのを防止する為に、保護管に穴を開ける必要があります。

ソーラーパネルに単管パイプ1.0mを10cm余分を残し取り付けます。その後、モンキーレンチでクランプのボルトを締めます。もう片方も同様に単管パイプを取り付けます。

※今後クランプに単管パイプを取り付ける場合は、モンキーレンチでクランプのボルトを締めて下さい。

余分を残した箇所の3cmの所に、直交クランプを取り付けます。もう片方の単管パイプにも同様に取り付けます。

取り付けた直行クランプに、単管パイプ1.0mを11cm余分を残し取り付けます。

余分を残した箇所の4cmの所に、直交クランプを取り付けます。もう片方の単管パイプにも同様に取り付けます。

取り付けた直交クランプに単管パイプ1.0mを取り付けます。もう片方の直交クランプにも同様に単管パイプ1.0mを取り付けます。

取り付け完了後、ソーラーパネルを太陽が当たる南側方面を向け、起こします。

ソーラーパネル上部の単管パイプに直交クランプを取り付けます。

取り付けた直行クランプに、単管パイプ1.5mを取り付けます。取り付ける単管パイプに雨量計を設置する為、水平器を使用して垂直になるように取り付けます。

単管パイプ1.5mにカメラを取り付けます。
※取り付ける位置は余水吐や堤体等撮影したい方向を向け、適宜調整下さい。

単管パイプ1.5mに雨量計を結束バンドを用い取り付けます。

単管パイプ1.5mに電源BOXをポールバンド締付金具を用い取り付けます。

※ポールバンド締付金具は手を切る可能性があるので、注意して作業を行ってください。

電源BOXの下に、バッテリーBOXを置き、バッテリーを入れます。

電源BOX内の下穴から前節で準備した電源ケーブルを挿入します。
左側から
太陽電池充放電コントローラーと大型太陽電池を接続する電源コードの2cm被覆をむいた方、


太陽電池充放電コントローラーとバッテリーを接続する電源コードの2cm被覆をむいた方、


降圧DCDCコンバータと機器を接続する電源コードの2cm被覆をむいた方


の順で挿入し、太陽電池充放電コントローラーと降圧DCDCコンバータまでの長さを確保して画像のように電源コードが落ちないように結束バンドで締めます。

大型太陽電池に接続する電源コードを左側、バッテリーを接続する電源コードを中央に、ワイヤーストリッパーで1cm電源コードをむき、太陽電池充放電コントローラーに取り付けます。取り付けの際は、プラス側に白色の電線を、マイナス側に黒色の電線となるようにします。

降圧DCDCコンバータ左側の赤と黒の電線を太陽電池充放電コントローラーに取り付けます。取り付けの際は、プラス側に赤色の電線を、マイナス側に黒色の電線となるようにします。

機器を接続する電源コードの赤色と黒色の電線をワイヤーストリッパーで1cm被覆をむきます。WAGO ワゴWFR-2BPワンタッチコネクターを用い、降圧DCDCコンバータ右側の赤の電線と電源コードの赤色、降圧DCDCコンバータ右側の黒の電線と、電源コードの黒色を装着します。

カメラ部、ハウジングケース内に水位・水温センサーのコード、雨量計のコード、電源コードを挿入します。

コネクタ付コード2Pの電線に、それぞれWAGO ワゴWFR-2BPワンタッチコネクターを装着します。

電源コードの赤色と黒色の電線をワイヤーストリッパーで1cm被覆をむきます。WAGO ワゴWFR-2BPワンタッチコネクターを用い、コネクタ付コード2Pの赤の電線と電源コードの赤色、コネクタ付コード2Pの黒の電線と、電源コードの黒色を装着します。

※まだコネクタ付コード2Pを回路基板に装着しない

雨量計と水位・水温センサーを回路基板に接続します。画像のように、Ethernetポート側に雨量計、水位・水温センサーはUSBポート側のジャックに接続します。

大型太陽電池に電源コードを接続します。大型太陽電池裏側のパネルを外し、電源コードを挿入後、電線を2cmワイヤーストリッパーで被覆をむき、よじり、フック状にします。その後、右側に黒色の電線、左側に白色の電線の順で取り付けます。

※必ず右側黒色の電線から取り付けること。

※取り付けの際は不注意によりショートする可能性がありますので、ゴム手袋を装着して取り付けます。

取付完了後、大型太陽電池裏側のパネルをしめます。

バッテリーに電源コードを接続します。バッテリーBOX背面から電源コードを挿入後、電線を2cmワイヤーストリッパーで被覆をむき、よじり、フック状にします。その後、マイナス側に黒色の電線、プラス側に白色の電線の順で取り付けます。

※必ずマイナス側黒色の電線から取り付けること。

※取り付けの際は不注意によりショートする可能性がありますので、ゴム手袋を装着して取り付けます。

取付完了後、バッテリーBOXのふたを閉め、鍵を閉めます。

カメラ部、ハウジングケース内のコネクタ付コード2Pを回路基板に接続します。接続完了後、機器の電源が入り、LEDが緑色に点灯します。
LED点灯確認後、カメラ部ハウジングケースをしめます。

カメラ、電源BOX、バッテリーBOXのケーブルが通っている穴に、昆虫等の侵入を防ぐ為に、パテを厚く埋めます。

結束バンドで各ケーブルを単管パイプに取り付けます。取付完了後、単管キャップを単管パイプ7か所に取り付けます。南京錠を電源BOXに取り付けます。最後に結束バンドで各ケーブルを単管パイプに固定します。

以上でIoT機器の構築は完了です。


IoT機器の水位調整

IoT機器で計測する水位と、実際のため池の水位をあわせるために、水位調整を行います。まずため池の水位を、オートレベル等の測量機器を用いて計測します。

ため池の水位は余水吐を基準(0mm)とし、余水吐から水面の高さとします。

送信データの確認

IoT機器構築後、1時間程度経過した後、Googleスプレッドシートや、Slack、ため池監視Webサイトを確認して、水位データを確認します。

・Googleスプレッドシート

ため池監視システム重要情報エクセルファイル内、Google Sheets URLをコピーし、ブラウザに貼り付けGoogleスプレッドシートを開き水位を確認します。

・Slack

ため池監視システム重要情報エクセルファイル内、Slack URLをコピーし、ブラウザに貼り付けSlackを開き水位を確認します。

・ため池監視Webサイト

ため池監視用IoT機器重要情報エクセルファイル内、さくらのVPS欄ドメインをコピーし、ブラウザに貼り付けため池監視用Webサイトを開きます。

その後、データダウンロードメニュー、「csvダウンロード」ボタンをクリックし、CSVデータをダウンロード後、ダウンロードしたCSVファイルを開き、水位を確認します。

水位調整

GoogleスプレッドシートやSlack、ため池監視用Webサイトの水位調整を行います。

水位調整の値を下記式で求めます。

水位調整の値=計測した水位-IoT機器で計測した水位

例えば、測量した水位が、-450mm、IoT機器から送信されている水位が40mmの場合、

水位調整の値=-450-40

から、水位調整の値は-490mmとなります。

GoogleスプレッドシートとSlackの水位調整を行います。ため池監視システム重要情報エクセルファイル内、Google Sheets URLをコピーし、ブラウザに貼り付けGoogleスプレッドシートを開きます。2行目L列に水位調整の値を入力します。

以上で、GoogleスプレッドシートとSlackの水位調整は完了です。

ため池監視用Webサイトの水位調整を行います。Webブラウザで、ため池監視システム重要情報エクセルファイルのさくらのVPS欄のphpmyadminのURLを入力しページを開きます。

phpMyAdminへようこそページが開いたら、「ユーザ名」、「パスワード」入力欄に、ため池監視システム重要情報エクセルファイルUBUNTU 18.04 DB欄のIDとパスワードを入力します。

入力完了後「実行」ボタンをクリックします。

phpMyAdmin管理画面が表示されますので、画面左側

「places」テーブルをクリックし、placesテーブル管理画面を開き、「編集」をクリックします。

diff欄の値を削除し、水位調整の値を入力します。入力後、「実行」ボタンをクリックします。

以上で、ため池監視用Webサイトの水位調整は完了です。


カメラ位置調整

設置したIoT機器のカメラ位置の調整を行います。

ため池監視用IoT機器重要情報エクセルファイル内、さくらのVPS欄ドメインをコピーし、ブラウザに貼り付けため池監視用Webサイトを開きます。その後設置したため池のアイコンをクリックし、「詳細」をクリックします。

詳細ページが表示されたら下にスクロールします。最新のため池画像がを表示されますので、画像を見ながら取り付けたカメラの位置を撮影したい方向に調整します。
※最新のため池画像の更新頻度は10分に1度ですので、位置調整後10分程度待ち、ブラウザを更新しため池画像を確認します。


次の章では、Googleスプレッドシート、Slack、ため池監視用Webサイトの使用方法を解説します。

次の章:第九章:各サービスの使用方法